日本史の旅(10)

 少し間が空きましたが、日本史の旅を再び出発させましょう。今回で10回目の旅になりますね。今回は厩戸王すなわち聖徳太子を中心とした飛鳥の地での政治と文化の流れを見ていきましょう。
【日本史のできごと】
588年 蘇我馬子、法興寺(飛鳥寺)を建立。
592年 蘇我馬子、崇峻天皇を東漢直駒(やまとのあやのあたいこま)に殺害
    させる。
    額田部皇女(ぬかたべのひめみこ)が推古天皇として皇位に就く。
593年 推古天皇、厩戸王(聖徳太子)を皇太子に立て摂政とする。
594年 三宝(仏教)興隆の詔を出す。
600年 隋に使いを遣わす=最初の遣隋使。
601年 厩戸王(聖徳太子)、斑鳩宮を建てる。605年に入る。
602年 百済の僧観勒、暦や天文地理学を伝える。
603年 冠位十二階制定。秦河勝(はたのかわかつ)、現在京都の太秦に広隆寺
を建立。
604年 憲法十七条をつくる。
607年 小野妹子を遣隋使として隋に派遣。法隆寺(斑鳩寺)建立。
608年 小野妹子、答礼使裴世清(はいせいせい)らとともに帰国。
同年再び小野妹子が派遣される。高向玄理(たかむこのげんり)・
南淵請安(みなぶちのしょうあん)も留学生として隋に渡る。
609年 鞍作鳥(止利仏師)、丈六釈迦像を完成。法興寺(飛鳥寺)に安置。
610年 高句麗の僧曇徴、紙・墨・絵具などの製法を伝える。

 物部氏の討伐後、蘇我氏の専横が目立ち、ついには時の崇峻天皇をも暗殺してしまいます。ヤマト政権としては危機的な状況。朝鮮半島で新羅が勢力拡大、高句麗と抗争激化。中国では南北朝を北朝から出た隋が統一(589年)し高句麗を圧迫し始めていました。そんな内憂外患な状況に登場したのが厩戸王(聖徳太子)です。彼は推古天皇の摂政となると、豪族の一大勢力蘇我氏(蘇我馬子)と協力しつつも、天皇中心の国家体制樹立に向けた政策を次々に打ち出していきます。
 冠位十二階・憲法十七条・遣隋使派遣、これが彼の三大政策として有名なのは言うまでもありません。それぞれの内容については、日本史の教科書など他の書物に譲るとして、憲法十七条の「和を以て貴しとなし」や「詔を承りては必ず謹め」などにみられるように、それまで豪族の恣意的な主導のもとに行われてきた政治体制を、日本(倭)の一つの統一国家として、天皇中心にまとめ上げていこうとする、彼の強い政治理念が伝わってきます。
 また、遣隋使として小野妹子を派遣した際、隋の煬帝に贈った書簡にある「日出づる処の天子、書を日出づる処の天子に致す」なども厩戸王(聖徳太子)の一国の統一国家のリーダーとしての気概が感じられますね。
 一方で、大陸文化の受容もますます進み、厩戸王(聖徳太子)が政治を執った地、斑鳩を中心として飛鳥地方に一大仏教文化が開花していきます。飛鳥文化ですね。飛鳥文化といえば法隆寺はマストですね。私も修学旅行をきっかけに何度も訪れましたが、当時の仏像(釈迦三尊像や百済観音像など)を目の前にして、息を呑むような心地に襲われたことを覚えています。当時の人たちの心に想いを馳せたりして、とても感動の旅でした。
 ほかにも飛鳥寺(法興寺)の釈迦如来像(飛鳥大仏)も不思議な笑みを湛えていて(古代ギリシャのアルカイックスマイルの影響)、なかなかの趣がありました。枚挙に暇がありませんが、このコロナ禍が収束したら、ぜひもう一度飛鳥の地を訪れてみたいですね。数えきれないほどの古代文化に触れることができます。日本の原風景、ある意味スピリチュアルな旅にもなるでしょう。一度訪れてみてはいかかでしょうか。
※参考までに、飛鳥、斑鳩の地の観光案内サイトのリンクを載せておきますね。
 ①明日香村観光ポータルサイト 旅する明日香ネット:https://asukamura.com/
 ②いかるがの里観光案内所 法隆寺iセンター:http://www4.kcn.ne.jp/~ikaru-i/
※飛鳥、斑鳩はどちらかというと奈良市内から離れたのんびりした閑寂な場所です。ちなみに一応、電車(JR
 や近鉄)で行けますが、各史跡は点在しているので、現地の足にはレンタサイクルを使うと便利だと思いま
 す。経験上ガッツリ観光するにはそれなりの時間がかかります。私も両方訪れましたが、朝から夕方までか
 かりました。明日香村は少し山あいなので、勾配もあって徒歩だときついかも。私は母親を連れて、初春に
 行きましたが、徒歩にしたため汗だくになり、えらい疲れました。自転車にすべきだった。まあ健脚の方で
 あれば大丈夫かと思いますが、先ほど言ったとおり、スポットが点在なので、ロングランです。頑張ってく
 ださい。
※さらに参考になる書籍を2つ挙げてみました。

聖徳太子と斑鳩三寺 (人をあるく) [ 千田稔(歴史地理学) ]

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教科書に出てくる遺跡と文化財を訪ねる(2) 特別堅牢製本図書 天皇中心の時代と貴族の時代(飛鳥・奈良・平安時代) [ こどもくらぶ ]

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