日本史の旅を続けましょう。今回はいよいよ大化の改新です。聖徳太子の遺志を継いで、中大兄皇子らが蘇我氏を倒して、天皇中心の国家体制を整えていきます。ではどうぞ。
【日本史のできごと】
645年 中大兄皇子・中臣鎌足らが蘇我入鹿を暗殺、蘇我蝦夷が自殺
(乙巳の変)。蝦夷、『天皇記』『国記』などを焼く。
孝徳天皇即位。
中大兄皇子を皇太子とし、左大臣・右大臣・内臣(うちつおみ)を置
き、僧旻、高向玄理を国博士に任じる。
初めて年号を立て大化とする。
古人大兄皇子(ふるひとのおおえのみこ)、謀反の罪で殺される。
都を難波長柄豊碕宮(なにわながらとよさきのみや)に移す。
646年 改新の詔を出す。墳墓葬送の制度(薄葬令)を制定。
647年 渟足柵(ぬたりのさく)を設置。
648年 磐舟柵(いわふねのさく)を設置。
649年 蘇我倉山田石川麻呂に叛意ありと讒言がなされる。
法隆寺玉虫厨子、法隆寺百済観音像完成?
653年 孝徳天皇、中大兄皇子と不和。僧旻死す。
654年 高向玄理、唐で死す。孝徳天皇、難波宮で死去。
645年大化の改新。学生時代、呪文のように覚えさせられましたね。でも年号とできごとってなかなか結び付かなくて、覚えづらい。覚えること多すぎる。面倒くさい。それで日本史嫌いに。。。
なんてことよくありますが、あくまで教科書の中の歴史は、知識のレベルでいうと扉を開いたばかり。年号はその扉を開くカギ。あるいは、アドレスみたいなものです。その扉のその奥には、幾多の人間のドラマがたたずんでいて、訪れたあなたを、その時代、そのひと時の、生き生きとしたストーリーへといざなってくれます。
以前、京都や奈良へ、それこそ大化の改新の舞台になった飛鳥に旅をしましたが、数々の仏像や建造物、遺跡などを巡って、耳を澄ませば、何かその当時の人々の思いや声が聞こえて来そうで、思わず鳥肌が立つ思いに駆られました。余計に歴史を身近に感じることができました。なんかタイムスリップした感じで、感動でした。
さて、話を大化の改新のころの日本に戻しますが、厩戸王(聖徳太子)の一族を滅ぼしたり、横暴の極みを尽くした蘇我氏。もうその権勢は天皇をもしのぐ勢いになったその瞬間に事件が起きます。蘇我氏の横暴を快く思っていなかった中大兄皇子。天皇中心の国家を築こうと、彼の周りに中臣鎌足ら同志が集まります。そして起こったのが乙巳の変。
朝鮮の三国(高句麗・新羅・百済)の使節を迎える儀式が飛鳥板蓋宮(あすかいたぶきのみや)で行われ、その儀式に蘇我入鹿が列席します。時の天皇、皇極天皇の前で蘇我倉山田石川麻呂が上表文を読み上げますが、その様子が不審だったのか、蘇我入鹿に気づかれそうになったその瞬間、隠れて機を狙っていた中大兄皇子が剣で入鹿に斬りかかり、他の同志も入鹿を襲撃。結果、蘇我入鹿は息絶えてしまいます。
その後、中大兄皇子らの軍勢は、入鹿の父蘇我蝦夷が立て籠もる甘樫丘、蘇我氏の邸宅に向かいます。わが子入鹿の遺骸を送り届けられた父蝦夷。さらに、中大兄の軍勢を見て観念したのか、蘇我蝦夷は自らの邸宅に火を放って命を絶ちます。これにて蘇我氏本家は滅亡。はかない結末となりました。
当時蘇我氏の氏寺だった飛鳥寺。そうです。飛鳥大仏のある寺院ですが、当時の飛鳥寺の跡地の傍らに、蘇我入鹿の首塚と伝わる五輪塔がぽつんと鎮座しています。一度訪れたことがあります。変事の直前までの横暴ぶりを見れば、それも因果応報なのかと思いますが、その蘇我氏一族の悲劇を思うと、何となく寂しさを感じるような雰囲気を、その五輪塔から伝わってきました。
そんなこんなで、中大兄皇子を中心として大化の改新は始まるのですが、皇極女帝に代わり新しく即位した孝徳天皇と中大兄皇子はやがて対立関係になってしまいます。中大兄皇子は一旦移っていた難波宮から再び飛鳥に帰ってしまい、孝徳天皇は失意のうちに亡くなってしまいます。ほかにも舒明天皇の皇子、古人大兄皇子が謀反の罪で殺されたり、改新では中大兄の一派であった蘇我倉山田石川麻呂も讒言のために中大兄に攻められ、山田寺で自殺してしまうなど、大化の改新の裏にはこのような血なまぐさい権力闘争が存在したのです。
大化の改新は、表向きには後に続く律令を中心とする国家づくりの基礎となる、公地公民などの政策が打ち出されていったわけですが、その裏にはこの改新にかかわった当時の人々の生きざま、ドラマチックな人生が秘められていたわけですね。
大化の改新も紆余曲折ありつつも、徐々に国家形成が進行していきます。そんな日本に大陸の争乱の足音が忍び寄ってきます。その動きについては次回の旅で歩んでみましょう。
◇関連するランドマーク◇
飛鳥寺~奈良しあわせ散歩〜パワースポット&カフェ&雑貨
https://www.kintetsu.co.jp/nara/report_powerspot/asuka.html
明日香村観光ポータルサイト「旅する明日香ネット」
https://asukamura.com/
孝徳天皇陵 – 太子町観光・まちづくり協会
https://taishi-kankou.jp/spot/view/kotokutennouryo.php
モデルコース「事件篇・大化の改新コース」 | あすかであそぼ
https://asukadeasobo.jp/kankou/course/course1
乙巳の変の舞台と伝えられる飛鳥板蓋宮跡
甘樫丘と桜